ヤン・リーピン 「孔雀」を観に行った

ヤン・リーピンの「孔雀」を観てきた。
2011年の「クラナゾ」で知ったヤン・リーピン、
最近はほとんどダンスなどを観に行かないので宣伝チラシなどをもらうことがなく、
Facebookで現在3年ぶりの来日公演中であることを偶然に知り、慌ててチケットを取った。
タイトルが「孔雀」ということで、今までのヤン・リーピンの集大成のような舞踊劇。



「孔雀の誕生」でヤン・リーピンのソロが始まった途端、
涙が溢れて止まらなくなった。
肝心の動きが途中から見えなくなるほどに泣きながら、
このシーンを観られただけで、来た価値があったと心から思った。
こういうものに飢えていたのかも知れない。
とにかく指先から腕、背中にかけての、彼女のお得意の独特の動きがすごい。美しい。
他に言い表す的確な言葉が見つからない。
3年前に50歳を超えていたのだから、一体今何歳?
化け物クラスの美しさ。
ネットで検索してみると、「本草綱目」を参考にした食事をしているらしい。
もちろん食養の他にも超人的な努力をしているのだろうけれども。
ヤン・リーピンの姪だという15歳の少女、ツァイー・チーの2時間回転にも度肝を抜かれた。
中国の生放送で4時間回り続けたこともあるとか・・・
自動回転する台の上にいるんじゃないかとか疑ったが
(インタビューを見る限り、本当に回っているらしい!)
自力でもモーターでも、連日あのように2時間ぐるぐる回転し続けて大丈夫なんて驚異の身体。


整った美しい顔立ちに膝まで届こうかという長い黒髪、
すらりと伸びた手、白いドレスでゆっくり、時に速く回転する様子はどこかの宗教の踊りのようでもあり、
マネキンのようでもあり、
いや、1階とはいえかなり後ろだったので最初は配役と字幕が出ても人形に見えたのだが
休憩時間中は写真を撮っていいということで近づいたら紛れもなく女の子だった。
そして休憩20分の間も舞台の同じ場所でずっと回転し続けていた。
観客がいないかのように遠くを見つめながら回り続けるツァイ・チー、
気味が悪いのと同時にものすごく惹きつけられる。
この感覚は中途半端な状況では得られないので久しぶりに身震いがする。
途中で「PINA」の音楽が3回。
ヤン・リーピンもあの映画から、
もしくはピナの舞台から直接、強いインスピレーションを受けたに違いない。
PINAのシーンを思い出しつつ、孔雀のダンスのBGMでも違和感はなかったが、
もうPINAを観られないことも同時に思い出してまた泣いた。
一人で行って良かった・・・

この記事を書いた人

Saori Takano

「ここに来て良かった!」と心から言っていただける治療室を目指しています。
鍼灸治療は人対人の相性が重要だと思っています。
来院するかどうか迷っている方は
ざっと眺めていただいて参考にしてくださいませ。