先週は人生で出会った鍼灸師•治療家の中で
最も尊敬している先生 石原克己先生の葬儀がありました。
帰りに先生の鍼灸院 東明堂の前を通りました。
鍼灸院と漢方薬局を開業して43年だったそうです。
初めて先生にお会いしたのが鍼灸学校1年生だった2001年。
人の心の奥まで届くような眼力に
直感的に「この先生 多分凄い人だ」と感じて以来
何か困ったら五井まで行けばいい、と思うことが心の支えでした。
実際がんの母を連れて何度か通ったり、施術のやり方に煮詰まると
同期と東明堂まで行って色々お話を聞きました。
母は末期で余命宣告を受けた状態だったので、話はいつも、治療法というよりは生命観の話になりました。
石原先生は施術家として天才的な手を持っているだけでなく
実際に深い知識と飽くなき探究心があり、そして
嘘偽りの一切ない優しさ、穏やかさを兼ね備えた、
人柄も本当に素晴らしい方でした。
相手の年齢や経験値を問わず同じように接する先生で、
学校の廊下などですれ違う時など学生相手にも丁寧なお辞儀をされて、それは20年経っても変わりませんでした。
思えば勉強会には色々行ってみたけれど
右も左もわからない1年生の時に通った日本鍼灸三通法研究会、
火鍼とか大鍼とか、その中の特殊技法は大胆すぎてうちでは患者さんには使わないやり方ばかりだけれども、
講座で石原先生が語っていた言葉のいくつかが
ずっと私の心に残っていて、一番役に立っている気がします。
あの頃は私も若かったけれど、
今は私があの時の先生の年齢になってしまいました。
沢山の献花、参列者も椅子に座りきれない数で
今後こんなにも多くの人から頼られ、慕われた方の葬儀に参列する機会はないだろうなと思いながら
心の中で先生に何度も深い感謝を。
旧暦では節分の金曜日から2023年が始まりましたが
例年の節分より一層、「新しい年」に変わったという気持ち。
私の小さな鍼灸の世界観の中で大きく輝いていた福島先生と石原先生がこの世を旅立って、
世代交代といってしまえばそれまでですが、
大袈裟でなく、時代が変わったような気分がしています。
3年前に先生の著書にサインをお願いした時の
「感謝 宇宙のシナリオに心を委ね、命の源を貴ぶ!!」
「!!」に石原先生の強い信念を感じます。
授業でだったか、他の講座の中でだったか、
Norma Cornett Marekの、お子さんを亡くした時の詩、 「最後だとわかっていたなら」を朗読してくださったことがありました。
一度しか聴いていないけれどその時の先生の声は今もはっきりと記憶に残っています。
サインを頂いた先生にお会いした最後の講座も、いのちのお話でした。
命ということについて、生きるということについて石原先生ほど語れる鍼灸師はいなかったと思います。
功徳を積むという言葉がありますが
先生はそれを実践して見せた方でした。
あらためて他者の為に尽力した先生の人生を尊敬します。
石原先生、今まで本当にどうもありがとうございました。