忘れ物

小学一年生のMちゃんのママから聞いた話です。
一年生ともなれば、自分のやりたいこともはっきりしてきて
親に反抗することもしばしば、
叱る機会も多くなり。
ある日、いつものようにママに怒られたMちゃん、
Mちゃん 「Mは優しいママを選んだはずだったのに
ママがこ~んなに怖い人だったとは知らなかったよ」
ママ   「? 選んだ??」
Mちゃんによると、
生まれる前、Mちゃんは他の子達とともに、神様と雲にのっていたそう。
神様がのっている雲は沢山あって、
それぞれに特徴というか、テーマがあるらしい。
「戦いの雲」とか「楽しい雲」とか「元気な雲」とか・・・
生まれるときにはそのテーマに沿ったお母さんを選ぶことになっていて、
Mちゃんののっている雲は「温かい心」というテーマの雲。
雲の上からはいろんなお母さんが見えていて、
「このお母さんにしよう」
と自分で生まれるところを選べるらしい。
ただし、もし行きたいところにすでに赤ちゃんの顔が見える場合は
そこには行かれない。
Mちゃん 「でも、空いたら行かれるの」
ママ  「どうして空くの?」
Mちゃん 「その子が忘れ物をしたとき」
ママ  「忘れ物?」
Mちゃん 「忘れ物をすると死んじゃうから、空くこともある」
ママ  (ちょっと動揺)「死んじゃうの?どうして?」
Mちゃん 「赤ちゃんになって生まれるまでには、
卵の時から始まって大きくなるまでに
ママから栄養をもらうための道具がた~くさん必要で、
それがないとちゃんと大きくなれないの。
だから雲からお母さんのところに行くときに
その道具を用意していくんだけど、
ひとつでも道具を忘れちゃったら、
その子は戻ってこなきゃいけないの」
・・・・・・・・・・
実はMちゃんのママは1度流産を経験しています。
へその緒がうまく形成しなくて繋留流産になり、
手術を受けなければならなかったのですが、
麻酔でうとうとしていたとき
夢の中に赤ちゃんが出てきて
「忘れ物したから帰るね」
と言って消えたそうです。
それまでにもMちゃんは生まれる前の世界の不思議な話を
小さい頃からママに話す子でしたが、
ママの方からはお産の話や知識を話したことは一切ありませんでした。
消えた赤ちゃんが言い残した「忘れ物」という単語を
Mちゃんが口にしたことに、ただただびっくりした、と。
聞きながら、ああ、彼女はこのMちゃんの話で
辛い経験の傷を癒すことができたんだな、と思いました。
忘れ物をして雲の上に戻っていったその子は
次はどこに行ったのでしょう。
またMちゃんの家に来るのかも知れないし、
もう他のお母さんのところに行っているのかも知れない。
この話を、何度も流産を経験した友人に話しました。
彼女は現在再び妊娠して、もうすぐ臨月を迎えます。
「今度の子は忘れ物がないといいなあ」
と、笑ってくれました。
これから生まれてくるみんな、
忘れ物に気をつけてね!
みんなのことをたくさんのママが待っています。

この記事を書いた人

Saori Takano

「ここに来て良かった!」と心から言っていただける治療室を目指しています。
鍼灸治療は人対人の相性が重要だと思っています。
来院するかどうか迷っている方は
ざっと眺めていただいて参考にしてくださいませ。