「へろへろ」を買った荻窪の本屋さん titleにて、
店主の辻山さんと鹿子さんの対談イベントがありました。
雑誌「ヨレヨレ」4冊と、昨年出た本「へろへろ」を読んで、
なんとなく鹿子さんの人となりがわかったような気がしてしまっていたので
昨日はちょっとバタバタしていたし
わざわざ夜に出かけて行かなくてもいいかなあという考えも頭をよぎりましたが…
行って良かった!!!
対談中の写真を撮るには躊躇する至近距離。
店主の辻山さんは背も高くダンディな方、
対する鹿子さんはまた全然違う雰囲気で
柄物パーカーにジーンズ、ナイキのスニーカーで業界的お洒落な感じ。
「こんばんは!福岡市中央区輝国から…」
唐突に住所と携帯電話の番号からの自己紹介で始まったトークは
よりあいのお年寄りの話、よりあいに勤めるスタッフの話、下村さんの話、
村瀬さんの話、そして雑誌を作るに至った経緯、
最初の販売拠点となった福岡の本屋さんブックスキューブリックの話、
鹿子さんが若い頃に影響を受けた人やこれからやろうと思っていることの話まで、
ノンストップ 余裕の90分超え!
本の中に出てくる下村さんという人が強烈なキャラクターなので、
その存在感を鹿子さんを通して感じたいと思って行ったイベントでしたが
いやはや、やっぱり鹿子さんも相当に濃い人でした。
創刊号がその後の号に比べても格段にぶっ飛んでいる理由もわかったので
その場であらたに買ってサインしていただきました。
谷川俊太郎さんもいらっしゃっていて、谷川さんの特別ハンコ付きです。
コラボね!
「ヨレヨレ」の方は「鹿子さんがここぞ!と思う場所にサインをいただけますかとお願いしたら
このページ。↓
「よりあい」はいわば、普通の老人施設では面倒をみきれない、
はみ出したお年寄りの行き場として始まったということで、
会場から
「本の中のお話は多少盛っていますか?」
という質問がありましたが
大袈裟でもなんでもなく、あくまでも事実だそうです。
「他の施設のような同調圧力に屈しないということですよね」
「いや、よりあいも結局下村さんの同調圧力かも知れないですけどね!」
と笑わせつつ、依頼されたお年寄りが他の場所ではさじを投げられたようなめんどくさい人であればあるほど、
一体何をしでかしてくれるのかわくわくし、その困った行動に、どう対応するか、むしろ燃えるらしい・・・
鹿子さんの義理のお母さんは、宅老所で看取られたそうですが、
そのお母さんがいよいよ息も絶え絶えという時に、他のぼけたお年寄りが土足で(!)畳に上がってきて、
「何これ。死んでるの?早く外に捨ててきて」
と暴言を吐くエピソードは噴飯もの。
「でもそういうのって自然だと思うんですよね」
とさらっと言ってしまう鹿子さん・・・
こんな場所、東京では絶対に作るの無理だよなあと思いながら聴いていましたが
ああそうか これはお年寄りとか介護とかの話ではないんだと。
もっと普遍的な、「居場所」の物語なのだと。
鹿子さんが冒頭で語った
「介護職に就く人には2種類いると思います。
ひとつは、介護の仕事がしたくて就く人。
もうひとつは、他のことをいろいろやってみたけれど上手くいかなくて、
流れ流れて介護の仕事にたどり着いた人。」
という言葉。
後者はそのまま、介護職ではないけれども鹿子さんにもあてはまっているのでしょう。
人には「居場所」が必要。
ないのなら、作ればいい。
高齢者だけの話ではありませんでした。
深く納得して帰ってきました。
自分は誰かから居場所を与えられているのか、
それとも与えているのか、
または今探しているのか、未来で探すのか・・・
考え続けるテーマが増えました。
本当に面白い本なので沢山の人がこの本を読んで、
色々なことが少しずつ良い方向に変わっていったらいいなと思います。
追記:雑誌「ヨレヨレ」は反響が大きく、施設運営業務に支障が出るため廃刊、今後の販売は中止になったそうです。もう読めないなんて残念!!
本屋さんの「へろ戦記 青い梅の狩人編」イベントへ
この記事を書いた人
Saori Takano
「ここに来て良かった!」と心から言っていただける治療室を目指しています。
鍼灸治療は人対人の相性が重要だと思っています。
来院するかどうか迷っている方は
ざっと眺めていただいて参考にしてくださいませ。