キノコハンター、松下和香子さんが
根津の中国茶店 閒茶さんでイベントをするというので行ってきました。
その名も「キノコの茶時」。
並べられたキノコ達は全て松下さんが自分の足で山に分け入って採ってきたもの。
炭で沸かされたお湯が注がれる静かな音をBGMに、
朴・ミズナラ・笹の種のお茶からスタートして
色々なキノコの香りを嗅がせてもらいながら彼女のキノコへの愛情と熱い想いを
分けていただきました。
キノコの種類は6000種以上。、そのうち200種は食用可能で200種は毒。
まだまだ未知のことが多いキノコ類ですが
腐生、共生、寄生という形態は植物というより動物に近いそうですが、
6億5000万年前に、
人類は菌類から枝分かれしました。
一方は菌類に、一方は動物に。
動物は食べることで栄養を取り、菌類は他から栄養を吸収する道へ。
「殺しにかかってくるから気をつけてください」
という松下さん。いや、キノコ狩りは貴女にお任せします。
ただ食べられない為であるならばそこまで強い毒である必要はなく
苦いとか不味いとかで十分なのに、食べた者を容赦なく殺すような猛毒を持つキノコがあるのは、
死骸を養分にして増殖しようというキノコ達の戦略でしょうか。
キノコの世界は奥深くて恐ろしい。
「キノコのお茶」って、初心者にとってはほぼ「旨み出汁」なんですが。
これを「お茶」と呼ぶのかあ。新しい世界です。
2000万年前から眠っていたキノコも取り出して培養すれば復活する生命力、
胞子を飛ばす時の、ロケットを超えるスピード。
空気中を漂っているであろう無数の胞子。
松下さんは20代の頃から熱心に富士山麓へキノコを取りに行っていて
その時は単に、調理師だった彼女が美味しい食材を求めてそうしていたのだと思っていましたが
どうやら違いました。
あれから二十年以上が過ぎましたが松下さんのキノコへの愛は増すばかり。
食材とかいうレベルを超えて、本当にキノコの世界に魅了され、取り憑かれています。
多分、山の中で存分にキノコの微細な胞子たちを胸いっぱいに吸い込んで、
キノコ達からの掲示を受けているのでしょう。
そういう人は感覚が常人から逸脱していて、本当に、大変に、魅力的です。
今後の活動も応援します。